おのでら鍼灸経絡治療院

体のこと、あれこれ

腸が感情を支配する?

2022/04/28

腸が「第二の脳」と呼ばれていることはかなり知られてきている。

脳からのコントロールとは別に独自の反応システムを作っているからである。

また、腸内細菌叢を整えることでどれだけ多くの病気を改善できるかも広く知られてきている。

腸に関する研究が進んできたのか、どんどん新しい知見が発表されてくる。

今回は腸は人の感情をもコントロールしているという話である。



アイルランド・コーク大学のテッド・ダイナン氏はプロバイオティクスと呼ばれる「体に良い影響を与える微生物」をラットに与えるという実験を行なった。

すると、ラットはうつ病や精神不安になりにくいことが明らかになったという。

実は消化器官と精神状態に関係があることは、1800年代初頭から既に分かっていたそうだ。

最新の研究では腸と脳を繋ぐ、双方向の通信回路が存在することもわかってきたのだとか。

つまり、腸は脳からの指令を受けるだけでなく、脳に対して積極的な働きかけもするということだろう。

なので、腸内細菌が脳の発達に大きな影響を及ぼしていることも明らかになったという。

特にストレスや緊張などを司る脳の部位に大きく影響するのだとか。

なんとなく分かっていたものが、それよりももっと複雑で緊密な関係であったことが実証的に明らかになったというわけだ。



その仕組みは、腸内細菌は食べたものを分解するだけでなく、直接脳にシグナルを送る神経伝達物質であるアセチルコリンやギャバ、トリプトファンなどを生成し、腸内に存在する無数の神経細胞がそれらの情報を受け取り行動するというものだ。

このような仕組みがあるからこそ、腸内細菌を整えると様々な病気の改善にもつながるわけだ。

前述のテッド氏の研究マウスは緊張や不安を感じにくく、問題解決もほかのマウスよりも早かったという。

腸内細菌を変えると頭も良くなるようだ。

また、彼らの頭にはギャバが多く、これによりうつ病になりにくくなっていたのだという。



驚くのはこれだけではない。

別の研究では二種類のマウスの腸内細菌を交換したのだとか。

すると、腸内細菌を分け与えられたマウスは元の宿主と似たような行動を取るようになったのだという。

もちろん、以上のような知見はまだマウスの研究段階のものであり、人間に同様の反応が起きるかどうかは分からないが、腸内細菌を変えると性格も変わるということも起きるのかもしれない。

糞便移植の効能として、一部の精神疾患にも効果があるとされているのはそのようなことなのかも知れない。



腸内細菌が脳をどのように操るのか、以下のような研究も出てきている。

2022年4月号の「サイエンス」に掲載された論文では、視床下部をはじめとする脳内各所の「NOD2様受容体」に注目されている。

この受容体は腸内細菌の細胞壁を構成する「ムロペプチド」を感知することができるという。

簡単に言うと、この「NOD2様受容体」は脳の神経細胞の働きによって活発になったり、腸内細菌の「ムロペプチド」という細胞壁の欠片によって抑制されるのだそうだ。

そのような働きから腸内細菌の種類や増減によって脳の活動が左右されるというわけだ。

「腸内細菌の欠片が脳中枢に直接作用するとは大発見です。体温・性欲・食欲・喉の乾きといった体の重要な機能は視床下部が管理していますが、それに匹敵する巧みさです」

と、フランス国立研究センターのピエール=マリー・レド氏は話しているという。



そこで、「腸と脳は互いに影響しあう」ことを理解した上で次の話を読むと非常に納得できる。

甘いものなど衝動的に沸き起こる食への渇望もまた腸内細菌のせいだというのである。

脳と腸内細菌との主導権争いに細菌が勝つと、頭ではわかっていても、その衝動に抗うことはできないというのだ。

それを単に「意志の弱さ」と定義づけてしまうのは安直で、容易にコントロールできる人は意志が強いのではなく、内なるせめぎ合いが無いだけの話なのだ(デブにとって都合のいい話?)。



寄生虫のトキソプラズマがげっ歯類の脳に侵入すると、宿主は衝動的かつ無防備な行動を取るようになるという。

これはトキソプラズマが繁殖するのに猫に捕食される必要があるために宿主にそのような行動を起こさせるのだ。

このように寄生虫には時として宿主に命を脅かす行動をとらせることがあり、このようなことが腸内細菌にも起こっているとのこと。



腸内細菌怖っ!

衝動食いはあなたのせいじゃない!

腸内細菌のせいだ!



ちなみに、人間がトキソプラズマに感染しても免疫機能が働くのでそうした症状を起こすことはめったにないそうだが、まれに病気などで免疫が機能しなかった場合などは、人においても衝動的で無謀な行動をとりがちになるというから気をつけたい。

トキソプラズマは豚・鶏・牛・猫などの体内に寄生しているありきたりな微生物である。



いかがだろうか。

腸内細菌の役割が明らかになるほどに消化器系統を守ることの重要性が感じられるのではないだろうか。

現在、腸内細菌は100~1000種類もあるとされているので、どの細菌にそういった効果があるのかを特定するのはなかなか難しいらしい。

しかし、特定ができれば落ち込む気分も、衝動食いもおなかの中から改善できる日が来るだろう。

それまでは、食欲に無駄な抵抗はしないことにしようか(笑)。



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