おのでら鍼灸経絡治療院

体のこと、あれこれ

化学物質を検出するデバイス

2025/03/26

気温が下がると吐く息が白く見えるのは、空気中に漂う細かな塵やほこりに、呼気中の水蒸気が集まり瞬間的に小さな水滴が作られるからという話は聞いたことがあるだろう。

なので、北極や南極では空気中に不純物が滞留していないので吐く息は白くならないと。

そうはいっても普段はなかなか空気中の不純物の存在に意識は向かない。

塵やほこり程度ならまだしも、現代の我々の生活圏には様々な化学物質まで漂っている。

そうした化学物質に過敏に反応する病気を化学物質過敏症(CS)という。

最近、体の中に取り込むマイクロプラスチックのことを書いているが、生活空間に常時漂い続けている化学物質もまた私たちの体をむしばむ原因の一つとなっている。

新築の家での生活や、仕事上での大量の暴露、賃貸の床下への不用意な殺虫剤の散布など、様々な理由で体内に化学物質を取り込みすぎて、ある閾値を超えた時、身体が拒否反応を示し過剰に反応するのだ。

身の回りにどんな化学物質が漂っているのか、気になる方は下記のデバイスで測ってみるのもいいかもしれない。



アメリカ化学学会で発表されたこのクレジットカードサイズのデバイスは、ポケットに入れたり、シャツに留めておくだけで空気中に漂う100種類以上の揮発性有機化合物(VOC)を検出してくれるという。

シックハウス症候群の例に見られるように、それらは建材やガソリンなどのにおいで分かりやすいもの以外にも、身の回りのプラスチック用品、印刷物(新聞など)、洗剤、フレグランス等々からも揮発しており、本当に身近に漂っている。

CSの方などは洗剤売り場に近づくだけで具合悪くなるというのだから、いかに生活に支障をきたす疾患であるかが分かるだろう。

こうした揮発性有機化合物の種類や暴露した量次第ではCSのみならず、がんなどの健康被害が起きることもあるので、これらについても広い意味での環境問題としてとらえる必要があるのではないかと思う。

毎年、多くの新たな種類の化学物質が作られている現状ではなかなか難しいだろうが、せめてそのような物質が集まる所を避けるだけでも必要があるだろう。



これまでもVOCを検知する装置はあったが、特定できる種類が限られるという欠点があったそうだ。

今回、アレン・アプレット博士らが発表したデバイスは、「OSU-6」というシリカ素材を使うことでその欠点を克服したという。

そこにはナノスケールの小さな穴が開いていることで、原子、イオン、分子の間に電気的な引力が働くのだとか。

ちなみに、この力によってヤモリは壁から落ちずに歩き回れるのだという(自然から教わることは実に多い)。

この力は化学的なものではなく、物理的な力によってキャッチするので、100種類上物物質に対応できるのだとのこと。



使用法は簡単。

自分の服に付けたまま、計測したい空間の空気中に露出させるだけ。

その後のデバイスは研究所に送られ、そこでOSU-6が温められる。

すると、キャッチされていた化合物が放出されるので、それを計測するという仕組みだ。

これまでの実験では反応しやすい化合物や不安的な化合物が安定するため、従来は検出が難しかったVOCも検出できるという。

実はこの記事は2021年のもので、当時はまだ製造施設や農業施設、兵士が直面する危機を把握したい場所でのテスト段階であり、一般には流通していなかった。

いずれは分析費用込みで、75ドル(約8200円)で提供されるらしいとのことだった。

それで今回、すでに販売されているのかどうか、ザッと検索してみたがヒットしなかった。

アメリカ国内では分からないが、少なくとも日本国内では販売されていないようだ。

日本においても同程度の価格で販売されるようであれば普及するのではないかと思う。



化学物質に過剰に反応する病気を化学物質過敏症というが、本来であれば身体にとって異物の化学物質。

それに反応しない方こそが化学物質不感症であるのかもしれない、という人もいる。

それだけ化学物質は身近にありすぎている。

もちろんそれらは生活を豊かにするために開発されているものだが、それによって健康が損なわれては本末転倒である。

地球と人類の生活を守るために温暖化問題が考えられているように、より安全性の高い化学物質という視点も環境問題の一分野として必要なのではないだろうか。



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