おのでら鍼灸経絡治療院

体のこと、あれこれ

特発性後天性全身性無汗症

2017/08/09

正常な体であれば、高温、多湿という汗が出てしょうがない状況下においても、汗をかくことが出来ない疾患を「無汗症」と言う。
汗をかくことが出来ないために皮膚は乾燥し、時に蕁麻疹を合併し、体温調節ができない為に熱中症になりやすい疾患である。
特に今の時期は特段に辛い疾患であろう。
無汗症は先天性と後天性がある。
先天性は以下になる。
〇先天性無痛無汗症
(以前、本稿でも紹介した http://ameblo.jp/helpjiritusinkei/entry-12228321455.html )
〇ファブリー病など
後天性には以下がある。
〇エクリン汗腺の異常
〇交感神経の異常
〇自己免疫性疾患
〇薬剤などによる続発性発汗障害
〇原因不明の特発性後天性全身性無汗症
汗をかくことのできない疾患は結構あるようだ。
今回はそのうちの特発性後天性全身性無汗症(以下AIGAと略)を取り上げたい。
特発性とは原因が不明ということ。
つまり漢字が長い病名だが、「原因がはっきりしないけれども、生まれつきの病気ではない、全身に及ぶ汗をあまりかけない病気」ということだ。
原因は現在自己免疫疾患であることが推測されているが、まだ研究が進められている段階である。
具体的な症状としては汗をかけないために皮膚は乾燥し、時にコリン性蕁麻疹を合併するという。
また、体温調節ができない為に熱中症を容易に起こしやすく、発熱、脱力感、疲労感、顔面紅潮、悪心、嘔吐、頭痛、めまい、動悸、さらには意識障害などの重篤な症状が出現することもある。
そのため、夏には外出が制限され、運動も避けなければならないなど、仕事に支障が出るとか、QOL(生活の質)が著しく損なわれる疾患でもある。
アトピー性皮膚炎が併発することもある。
腋の発汗や手足の精神的な要因による発汗は保たれるそうだ。
発症率は明らかになっていない。
なお、AIGAであることには無汗であること以外に自律神経症候や神経学的症候を認めないという条件が付く。
また、特別な発汗試験も行われ、その試験で全身の25%以上に無汗、減汗が認められるとか、発汗を誘発された際に皮膚にピリピリする痛みがあるなど、いくつかの項目に該当することも必要とされている。
治療法は現在投薬治療が行われているが十分に確立されておらず、長期にわたり熱中症を繰り返すことがあるとのこと。
発症初期では治療が功を奏することが多いそうだが、発症期間が長いケースでは無効であることが多く、寛解後に再発の可能性もあると言う。
これは、発症期間が長いと汗腺が長期にわたって使われないため委縮・変性を起こすからである。
そういえば、北国育ちと南国育ちでは汗腺の数が違うのだそうだが、生後3歳までに汗腺の数が決まってしまうので、それ前までに住む環境が変われば北国生まれでも汗腺の数を増やすことは可能らしい。
環境が人を作るとはよく言われるが、人格だけではなく、肉体も変わるということである。
やはり早期発見・早期治療が重要なのだ。
エアコンを多用するなど、そもそもあまり汗をかかないですむ生活環境下では無汗症であることの自覚がないケースもあるという。
また、手足の発汗が目立つので逆に手掌多汗症などに間違われることもあるとのこと。
さらに、併発しやすいコリン性蕁麻疹では使用される薬の作用で発汗が抑えられることもあるため、単に薬の副作用であると勘違いされることもあるのだとか。
状況によって、様々な誤解が生じやすいようだ。
上記のように、薬が逆に無汗を促進させてしまう場合もあるので、無汗症という疾患の存在の啓発と、その診断が非常に重要になる。
当院でもこれまで多汗症の患者さんを診てきたが、「無汗症かも」という意識はあまり無かった。
東洋医学の場合は、症状以外にも身体が発する様々なサインに沿って治療を選択していくので、そのサインの読み取りを正確に出来さえすれば多汗症であろうが、無汗症であろうが関係はないのだが、
「多汗症なのか、多汗症のように見えるだけなのか」
という意識をもって診療に当たることで、より重層的、立体的な患者のとらえ方ができると思うので、今後はその点も忘れないように診ていきたいと思う。
東洋医学では、AIGAのような症状の方は体内での熱の処理がうまくできていないと診る。
以前、それこそ汗をあまりかくことができず、夏場に外出すると途端に体調が悪くなるという患者さんを診た時、それ以外の症状も鑑みて、心経、小腸経の陰陽両経の施術で著明な改善を得たケースがあった。
その方は2~3年もの間、そういった症状に苦しんでおられた。
その患者さんがAIGAに該当していたのかどうかは分からないが、似た症状に鍼治療が有効であったことは間違いない。
当院では問診で「汗のかきにくさ」をお聞きしているが、1~2割ぐらいの方が「人と比べ汗をかきにくい」と感じておられる。
これまで単に交感神経の亢進状態を表す症状としてみてきたが、違う要因の方もおられたのかもしれない。
西洋医学であろうが、東洋医学であろうが、早期発見、早期治療が大切である。
「あれっ!」「おや?」「もしかして」と思われた方は、日常生活に支障がない場合であっても放置せずに、「きちんと汗のかける身体」を取り戻すことをお勧めしたい。

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