残念な健康習慣
2021/07/29
世に溢れかえっている健康情報。
しかし、時にそれまで常識と思われていた健康情報がじつは間違いだったと聞かされることも多い。
ここに「日本人の9割がやっている残念な健康習慣」という本がある。
今回はそこからいくつか抜粋して紹介してみたい。
最後には更なるどんでん返しもあるので、是非とも最後までお読みいただきたい(笑)。
まず、個人的に数年前に「なんだよ!」とツッコミを入れたくなった常識の転換は卵問題である。
以前は、コレステロールの摂り過ぎになるので卵は1日1個まで、というのが常識だった。
それが2015年に厚生労働省が1日の摂取量を撤廃すると発表したのである。
卵や魚卵の摂取で、血中コレステロールが増えると信じられていたのだが、じつはコレステロールの7~8割は肝臓で作られることがわかったそうだ。
「食事で摂取する量が減ると、肝臓は多めにコレステロールを作り、多く摂取すれば肝臓は少なめにつくる」というメカニズムがあり、血中濃度を一定に保つ仕組みがあるのだという。
でもちょっとまてよ。
そうは言っても検査をすればコレステロール値の上下動はあるわけで、一定に保つメカニズムはあるかもしれないが、本書で書いている「いくらでも食べていい」は言い過ぎではないだろうか。
でもまあ、「1日1個」などと神経質になる必要はないということだろう。
運動に関する間違いで衝撃だったのは、「有酸素運動は20分以上行って初めて脂肪が燃焼される」というもの。
自分が以前朝のトレーニングを行っていたときもそう信じて疑わなかったし、患者さんにもそのように語りながら最低でも20分以上の運動を、と勧めてきた。
しかし、実際には短時間でも十分に脂肪も燃焼されるらしい。
確かにエネルギー効率で見た場合、糖と脂肪の燃焼割合を比較すると、運動し始めは脂肪燃焼の割合は低いが、10分程度で良く燃焼されるようになり、20分程度で糖よりも脂肪の燃焼割合が高くなるというのである。
20分というのは糖と脂肪の燃焼割合が逆転する時間ということのようだ。
だから、ちょこちょこっとした短時間の運動でも十分に脂肪を燃焼させる効果はあるという。
ちょっとした運動も無駄ではないという事実は、運動に取り組みやすくさせてくれる嬉しい間違いだったようである。
これは自分も以前から知っていたが、基本的に朝の運動はあまり体に適していない。
運動時には交感神経がよく働くが、目覚めて間もない朝は副交感神経優位の状態であり、運動による体の反応への適応がスムーズにいかないのである。
加えて脱水状態で血液の粘度が高くなっているし、寒い時期なら尚更心臓や血管への負担が大きくなるので、起きてすぐの運動は適していない。
最も運動に適しているのは夕方の4~6時なのだそうだ。
交感神経もしっかり働き、体温も上昇しているので体にかかる負担も少なくて済むということである。
働いている人にとってはかなり時間の調整が難しいので、朝の運動をする場合は始める前に水分の摂取、ちょっとしたエネルギーの補充、運動はゆっくりした歩行から始めるなどの工夫が必要だろう。
あなたはミカンを食べる時、あの白い筋をきれいに取り除くだろうか?
もうしそうならもったいない!
あの白い筋や薄皮には「ヘスペリジン」というビタミンPの一種が含まれていることが分かったそうだ。
ヘスペリジンの作用は果肉に含まれるビタミンCと一緒に働き、毛細血管を強くし、コレステロールを下げ、老化防止に大きな効果を発揮するのだという。
東洋医学には「全体食」という概念がある。
魚にしても野菜にしても、皮などを取り除き美味しい実や身だけを食べるのではなく、全体を食べることで様々な栄養素を余すところなく取り込むことができるという考え方である。
さすがにミカンの厚皮までは農薬の問題もあるだろうから勧めないが、あらゆる栄養素を取り込みたいと思う人は食べられるものはなるべく余さず食べる習慣にしておいたほうがいいと思う。
これもちょっとビックリ。
貧血予防にひじきを食する人も多いと思う。
自分もたまに食べている。
そのひじきを買う際、どこの国産のものを買っているだろうか?
何となく安全性のイメージで日本国産のものを選んではいないだろうか?
これも間違いらしい。
日本国産のひじきに含まれる鉄分の含有量が、これまで100g当たり55mgだったものが、2015年に改訂された日本食品標準成分表ではなんと6.2mgまで激減したそうなのだ。
一方、中国産や韓国産は50mg近い数値であることが日本ひじき協議会から発表されたのだそうだ。
これではどこ産のひじきを買うべきか明らかだろう。
それにしても、ひじきに限らず日本国産の野菜なども昔のものに比べて栄養価が下がってきていると言われている。
見栄えのいいもの、形のそろったもの。
それらも良いが、肝心の何かを失ってしまうのでは大きな問題ではないだろうか。
本書ではこうした事例が120以上も掲載されている。
やはり自分が間違っていたと思えるものも多いが、中には「本当にそうかな」と思えるものもある。
ぜひ、あなたも読んでみていただき、ご自分で判断してみてはいかがだろうか。
実は最後のどんでん返しというのもそのことなのだが、最初に書いた卵問題で、3月18日にこんな記事が出た。
1週間に卵を3~4個食べる人や、食事で1日300ミリグラムのコレステロールを摂取する人は、そうでない人に比べて心疾患や早死にのリスクが高い、というのである。
この研究結果を発表したのは米ノースウェスタン大学のビクター・ゾン氏。
29000人あまりについて、平均17年半の追跡調査を行い、米国内の6つの研究グループが詳しく調べたそうだ。
調査結果については下記の記事を見て欲しい。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190318-35134378-cnn-int
1日1個どころか、1週間に3~4個でも多いというのであれば、厚労省発表の内容は何を根拠に導き出したものかということになってくる。
あなたを混乱させる意図は全くないが、このような記事が出てしまってはどうしようもない。
卵問題に限らず、塩の摂取量問題、朝食問題、主食・副食問題などなど、特に食をめぐっての健康情報は本当に議論が絶えない。
突き詰めれば、自分の信じるところを信じていくしかない、という実につまらない結論に至ってしまうもの。
だが、極論を言えば、行き着く結果に本人が責任を持ち、後悔しないとの覚悟さえあれば、暴飲暴食も一つの人生の生き方であるとも言える。
食に関して言えば、個人的にはどんなに良い食材といっても、摂りすぎればどこかにひずみを生じさせかねないと思っている。
なので、和食を中心に、あらゆる食材をバランスよく、少々少なめに、というのが最も無難な食養法だと思っている。
実践できているかどうかはまた別問題なのだが・・・(苦笑)。
本書では食や運動だけでなく、睡眠や嗜好品、サプリメント、様々な治療法、ダイエット法等々についても書かれている。
興味のある方は是非ご一読を!
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