おのでら鍼灸経絡治療院

体のこと、あれこれ

新生児早老様症候群

2017/07/18

早老症というと、数年前にテレビにも出演し有名になったプロジェリア症候群のアシュリーのことを思い出すかもしれない。
しかし、今回は「早老症」ではなく、「早老症様」になる疾患である。
アメリカ・テキサス州に住むリジー・ヴェラスクエズさん(おそらく現在29~30歳)は身長157.5cmにもかかわらず体重は29Kgを超えたことがない。
知らない人からは拒食症ではないかとみられるそうだが、実は彼女一日に5000~8000キロカロリー、60回(15~20分おきに1回)もの食事を摂っている。
摂らなければ生きていかれないのである。
チョコレート・ピザ・ドーナツ・アイスクリームなどを味わうというよりも、ただ流し込むように食べていることも多いとのこと。
彼女は新生児早老症様症候群という疾患にかかっており、その症状は顔や体から皮下脂肪が失われるため、老化を速め、組織を劣化させてしまうというものだ。
彼女は予定日より4週間早く、950gの未熟児として生まれた。
通常であれば妊娠35週の胎児の体重は1950~2700gらしいので、正常値の1/2~1/3と極端に少ない。
そのとき羊水は最小限しかなく、担当した医師たちはリジーさんが生きていたことに驚いたという。
疾患名に「新生児」と付いているのは新生児の時点で早老症様顔貌を呈しているからである。
本当の早老症は発症時期が幼児期や成人してからだが、この疾患の場合は胎児の時点ですでに脂肪を蓄えておけないようだ。
当初、医師は
「お嬢さんは一生歩いたり、話したりすることはできないでしょう。ましてや普通の生活など送ることはできません」
とご両親に告げたという。
しかし、彼女は本当に小さく、洋服などはおもちゃ屋で人形用の服を買ったほどだったそうだが、内蔵も、脳も、骨も普通に成長した。
2006年の文献では、常染色体劣性遺伝と考えられるが明らかな病因は不明、著しい成長障害があり、5歳以上にまで成長するのは稀で、生命予後は平均7か月、とされていた。
また、筋緊張の低下がみられ、中枢神経系の編成や運動失調が進行するとか、頭髪・体毛に乏しいなどとも書かれており、運動障害もなく、頭髪の豊かなリジーさんとはどうも病態が異なるような気もする。
単にリジーさんが他のケースに比べて軽症だということなのだろうか。
症例数が極端に少ないせいか、日本語で検索できるこの疾患に関する文献としてはそれしか見つからなかった。
また、「世界で3例しかいない」と紹介しているサイトが多いが、日本で同疾患の二人の兄弟に対する理学療法を行った報告もあり、実際にはもう少し多いものと思われる。
残念ながらその報告は会員のみ閲覧可能なため、内容は見ることが出来ない。
実は世界的にもまれなこの疾患に罹ったリジーさんを紹介するサイトは多いが、疾患そのものに対する言及というより、彼女の生き方に感銘を受け紹介しているものが大半である。
彼女はその特徴的な容貌から幼少時より周囲から奇異な目で見られてきた。
「朝起きたらどうか普通の人間になっていますように」
と祈りながら眠りについても失望の朝を迎える日々が続く。
そしてこの疾患のせいで、13歳の時には右目を失明し、混濁した瞳はさらに容貌を特徴的なものにしていく。
悲しいことに高校時代には「世界で一番醜い女」と題した8秒ほどの音もない動画がアップされ、400万回以上再生され、何千ものコメントが書き込まれた。
中には「世界のために自殺して」などというとんでもない、人の心を殺すようなコメントもあったという。
その動画を見た多感な時期の彼女は泣き暮らしたというが、いつしかどこか吹っ切れて見返してやろうと思うようになったそうだ。
人生は自分の手の中にあると分かり始めたと言う。
「私は片目が見えませんが、もう片方は見えるとか、病気がちかもしれませんが髪はとてもきれいとか。それで幸せになるか怒りを抱えたままかの選択は自分次第ということです。」
彼女は自分をからかったり、いじめたり、醜いとか怪物だとか言った人たちに良い意味で変わった自分を見せつけるために四つの目標を立てた。
○モチベーションスピーカーになる
○本を出版する
○大学を卒業する
○家族と仕事を持つ
現在彼女はモチベーションスピーカーとして数年たち、200回以上ものセミナーを開き(これは数年前の時点での数字なので、現在ではもっと多いだろう)、
「自分のユニークさをありのままに受け入れる」「いかにいじめに対処するか」「試練を乗り越える方法」などのテーマで講演をしている。
彼女の講演はユーモアにあふれ、聞く人を引き付けるそうだ。
彼女の講演の模様がYou tubeにアップされている。
字幕もなく、翻訳機能を使ってもあまり具体的な内容が分かりづらいのだが、興味のある方はぜひのぞいてみてほしい。
話しぶりは堂々としていて、知性の高さを感じさせる。
現時点で家族を持つ目標が達成できたかどうかは分からないが、それ以外の目標はすべて達成したそうだ。
https://www.youtube.com/watch?v=c62Aqdlzvqk
本稿では、世の中には実に様々な疾患があるが、その疾患の具体的な内容を知ることで、変な偏見や愚かしい恐怖心を持たなくなると思い継続して取り上げている。
早老症のアシュリーもそうだったが、リジーさんもまた世に堂々と出ることで理解が進むことを願っていることと思う。
是非、知って頂きたい。
彼女の強さと、そのように育てたご両親にただただ脱帽である。

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