寿命を延ばすサプリメント?
2021/04/21
数年前に、あるサイトでこんな記事を見た。
「人は何人たりとも死を免れることはできない。しかし、現在の技術で不老不死は望めないかもしれないが、少しでも健康寿命を延ばすことは可能になるかもしれない」という。
アメリカでそんな錠剤が開発されたのだ。
6名のノーベル賞受賞者を科学顧問に持つ健康補助食品メーカーが、マサチューセッツ工科大学科学者と共に、“ただ長く生きる”のではなく、“より長い健康寿命”を目指したサプリメントを開発、販売したという。
そのメーカーとは「エリジウム・ヘルス(Elysium Health)」で、サプリメントの名は「ベーシス(Basis)」という。
主原料の一つはニコチンアミドアデニンジヌクレチオド(NAD+)と呼ばれる化学物質で、DNAの修復に大きな効果をもたらすと期待されているものなのだという。
NAD+はもともと、あらゆる生物の体内で生成され、細胞に存在しているもので、体内の修復に役立っている。
しかし、加齢に伴い体内での生成能力が減少していくのだそうだ。
このNAD+を増やすのが今回開発されたベーシスなのである。
既に臨床試験がなされており、科学誌「ネイチャー」でも発表されているとのこと。
60歳から80歳までの男女40人のグループ3つの計120人を対象に試験が行われた。
それぞれ、推薦摂取量を使用するグループ、推薦摂取量の2倍を使用するグループ、ニセのサプリを使用するグループに分け、4週間に渡って毎日服用してもらった。
結果は推薦摂取量を使用したグループは平均NAD+量が40%増加し、肝機能も改善されたとのこと。
また、2倍摂取したグループでは運動能力の改善がされたとも。
ただし、それらの機能改善に直接NAD+が関わっているのか、そうであればどうか関わっているのかは更なる研究が必要なのだそうだ。
加えて、あくまでもこのベーシスは健康補助的サプリメントであり、治療薬ではないとしている。
そのことを理解した上で、エクササイズや健康的な食事も心がけるよう呼びかけている。
これだけに頼って不健全な生活を送っていれば何の意味もないということのようだ。
ベーシスは既に販売されていて、エリジウム・ヘルスのサイトで1瓶(1か月分)40ドルである。
なお、NAD+はアンチエイジングのみならず、がんや慢性疾患の治療や、宇宙旅行での体の保護などの分野でも注目されている物質のようである。
いつの日か火星有人飛行をする時に、必須アイテムになるかもしれないとのこと。
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド。
ぜひ覚えおくといいかもしれない。
ちなみに、アンチエイジング効果を持つ薬として、「メトホルミン」という糖尿病に対して使用される薬もあるそうだ。
糖尿病に対して使われる薬ではあるが、健康寿命を延ばす効果があることは既に動物実験でも証明されているという。
これは2015年の記事である。
ヒトの身体は細胞が何度も分裂を繰り返して新しい細胞に入れ替わることで維持されている。
しかし、何度も分裂を繰り返すうちにエラーが生じ、健康ではない細胞が生まれるようになる。
それが癌であったり、アルツハイマーなどの病気のもとになったりする。
メトホルミンの作用は酸素を細胞内へ供給することで細胞の安定化や長寿化に寄与すると記事には書かれている。
メトホルミンの糖尿病に対する薬理は体内への糖の放出を抑制する作用にあるそうだ。
糖化作用で老化が促進されると言われており、その糖の放出抑制自体が老化抑制につながるということもあるのではないだろうか。
糖の放出が抑制されることで肥満の解消にもつながるとされており、それも健康寿命の寄与することは想像に難くない。
昨年もメトホルミンのもつ多面的な薬理についての報告がなされており、免疫細胞の活性化や腸内フローラの改善など多方面から老化防止に寄与しているのではないかと考えられてきているようである。
メトホルミンを投与された糖尿病患者は、糖尿病を発症していない人よりは長生きすることはもちろんできなかったが、投与されない患者より長生きできることも確認されているという。
動物実験の効果がそのまま人で実現されれば、現在イギリスの平均寿命は女性82.8歳、男性78.8歳(2015年)だが、寿命は約50%伸びるそうである。
老化防止薬としての人に対する治験は2016年から始められたそうなので、もうそろそろ販売されるであろうか。
ざっと見た限りでは、まだ糖尿病薬としての記事しか出てこない。
ピンピンコロリを望む人には待たれるサプリメントとなるかもしれない。
命は永遠ではないかもしれないが、上記のサプリメントや薬の出現によって、更に健康寿命は伸びていくことだろう。
しかし、単に寿命が延びることだけで幸せになるわけではない。
人生そのものが幸せであってこそ、健康寿命の長さが幸せになるのである。
生きる目的があってこそ長寿化が幸せにつながるのである。
果たして、あなたは120歳まで生き続けたいだろうか?
自分はというと、ん~今のところはそこまでいらないかなあ。
ただし、ピンピンコロリは非常に魅力的である。
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