おのでら鍼灸経絡治療院

体のこと、あれこれ

場面緘黙(ばめんかんもく)

2017/06/13

最初、自分はこの疾患の症状を読んだ時には、単なる「ちょっと度が過ぎた内気なだけか」と思った。

しかし、そのような受け止めでは彼らを救うことはできないようだ。

なぜなら、彼らは「話したくない」のではなく、「話せない」からだ。

場面緘黙とは、ある特定の場面で全く話せなくなってしまう現象である。

家族とは問題なく会話ができるのだが、学校や幼稚園など、「話さなければならない場所」では話せなくなってしまうのだ。

そのような子は非常に内気な様子に見え、グループの活動に入りたがらなかったりする。

しかし、たいていは発話以外の表情や動作など、そのほかのやり方であれば人とのコミュニケーションをとることができると言う。

脳機能にも問題がなく、行動面や学習面でも問題を持たないとされている一方で、感覚情報の処理に問題のある感覚統合障害を持つ者もいるとか。

また、会話障害、言語障害をも併せ持っている子供も20~30%いるとも言われている。

単なる人見知りや恥ずかしがりと違うのは、症状が大変強く、何年たっても自然に症状が改善せずに経過することが多いことである。

もちろん、個人差や症状の軽重もあるようで、効果的な教育的介入で1~2年で克服する場合もあるとのこと。

逆に効果的教育の介入なく成人になるまで同症状が経過すると、当然ながら学業上、職業上、社会的交流上も大きな阻害因子となるため、

「自信がなく、自立心にかけ、大人になり切れていない」

と感じるようになり、場合によってはうつ病を併発するケースもあるという。

発症年齢は2~5歳に発症するとのことなので、やはり何らかの器質的な問題が背景にあると考える方が妥当なように思われる。

単なる引っ込み思案と思われることが多く、6~8歳のいわゆる学童期まで診断や治療が行われないことが多い。

発症率はあまり明確ではないようだが、小学校低学年の2%がこの症状を持っているという報告や、男子より女子が1.5~2倍多いという報告がされている。

また、アメリカでは0.7%の発症率との報告がある。

発症率が不明なのは単に

「性格的に内気なだけ」

ととらえられているだけでなく、

「学校側が困る」

ことが少ないため問題視されること自体が少なく、見落とされがちであるようだ。

しかし、学校は困っていなくとも、本人は話したいのに話せなくて困っているのだ。

この症状に陥る子供たちは確かに先天的に不安になりがちな傾向はあるようだ。

脳の偏桃体という部位は脅威の兆候を感知すると「闘争あるいは逃避行動」を引き起こす。

そこが過剰に刺激されているのではないかとも言われている。

場合によっては感覚統合障害、言語障害を抱えている場合もある。

WHOの診断基準では「小児期に発症する情緒障害の一つ」とされている。

虐待やネグレクト、心的外傷によるものはあまりないとのこと。

つまり、後天的な性格形成とはあまり関係がないということだろう。

どうも場面緘黙と、感覚統合障害・言語障害と、単なる内気。

それらの間をすっかり完璧に線引きすることはどうも難しいようだが、治療の原則として「無理に話させないようにする」ことは非常に重要なポイントのようである。

返事がなくとも気軽に話しかけ、リラックスした空間を作ることや、笑いを引き出す場面を多く持ち、本人が「話したい」という気持ちにさせることなどが有効なようである。

心理学的には行動療法などの治療法が提唱されている。

いずれにしろ、症状をより悪化させないためにも、早期の介入が求められている。

自分が小学生のころ、同じクラスに全くしゃべらない女の子がいた。

卒業式を迎え、卒業生の点呼の時になんとか「ハイ」と返事をしてくれるよう、みんなで手紙を書いたこともあった。

結局彼女からは一度もその声を聴くことなく卒業した。

今にして思えば、先生がみんなにそのような手紙を書かせたということは彼女が「話すことはできる」という認識があったからで、もしかしたら彼女は「場面緘黙」だったのかもしれない。

そうであれば、みんなが書いた手紙は彼女にとってストレス以外の何物でもなかったはず。

先生も、手紙を書いたクラスメートも、知らなかったとは言えかわいそうなことをしてしまった。

彼女が本当に「場面緘黙」だったのかどうか今となってはわからないが、どうか彼女がそれを現在では克服できて、どこでも自由に話せるようになっていることを祈りたい。

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