おのでら鍼灸経絡治療院

体のこと、あれこれ

合成赤血球

2023/06/09

2020年にニューメキシコ大学などの研究チームが、実物の赤血球に近い働きを持つ「合成赤血球」の開発に成功したとのニュースが出た。

これまで、医療の現場では手術や外傷に伴う失血に対応可能な代用血液が用いられてきたが、これはあくまで血液の「量」を確保するためのもので、赤血球の酸素運搬能力を持つような完全な人工血液は開発されてなかったという。

そこで、ナノ構造について研究しているチームは、天然の赤血球から人工的な赤血球を作る研究を行い、そこで作られた「再構築赤血球(RRBC)」は形状、電荷、表面のタンパク質など天然の赤血球をほぼ同じで、毛細血管の模型の中でも形が崩れないほどの柔軟性を持っているという。

また、マウス実験でも免疫細胞からの攻撃を受けることもなく、48時間以上体内に存在することが可能で、体に悪影響を及ぼすこともないことが確認されたという。

さらに、RRBCの内部に酸素を運ぶヘモグロビン、抗がん剤、磁性ナノ粒子、毒素を検知するマーカーとなる物質などを詰めることにも成功したことから、RRBCは本物の赤血球のように様々な物質を体内の隅々に運ぶことができる可能性があるとのこと。

実用化されれば高性能な人工血液の開発が可能になり、がん治療や、細菌性血液感染症の治療なども可能になると期待されている。



血液に関する研究は多くのところで行われており、その数年前にはイギリスのブリストル大学の研究チームが人口の血液を無限に作り出す可能性を持つ「不死の細胞」を作り出すことに成功している。

これまでも幹細胞から赤血球を培養する手法はあったのだが、1個の幹細胞からは約5万個が培養されるのみだったという。

この数字は多いようにも思えるが、一般的な輸血バッグ1つあたりには約1兆個もの赤血球が含まれていることから見ると、「取るに足らない量」であり、実用的でないのだそうだ。



そこで研究チームは幹細胞の「不死化」を行い、連続的な細胞分裂能力を備えた「赤血球生成幹細胞」を作り出したという。

通常、幹細胞は一生のうちで限られた数の細胞しか作り出せないのだが、幹細胞を細胞分裂の初期段階のままに「閉じ込めておく」ことで、継続的に細胞を作り出していくことができるのだそうだ。

不死細胞といえば、以前紹介したある癌患者からの由来の「HeLa細胞」があるが、患者本人の許諾もないままに多くの研究などに活用されていたこともあり、訴訟問題にも発展していた。

今回のはそれとは異なる細胞であり、ドナーからの許諾も得ているとのこと。



病気などで多くの血液を必要としている人に希望が広がる研究結果だが、当時の記事では輸血全般にこの技術を用いることは考えられておらず、まずは特に珍しい血液型を持つ人の血液不足を解消するために活用することが検討されるとのことであった。

2017年後半からの実用化が始まるとされていたので、現在ではもうかなりの実績が積まれているのではないだろうか。

昨今ではコロナ禍もあり、輸血用血液の確保もだいぶ苦労されているようでもあり、一般的な血液確保にも需要は高まっているかもしれない。

なお、血液に関しては多くの研究がなされているとともに、若返りのために若者の健康的な血液を輸血するという健康ビジネスなどもあり、いろいろな意味で興味深い分野である。




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