おのでら鍼灸経絡治療院

体のこと、あれこれ

全身脱毛症

2022/04/22

学生の頃、薄毛に悩む友人がいた。

非常に優しく、男気があって、ユーモアのセンスにも溢れ、周りからの信望も厚い男だった。

彼が悩むほど周りの人間は髪については何とも思ってはいなかった。

まあ、二十代ともなればそんなことが人間性に何の関わりもないことは分かっているので当然といえば当然である。

だが、10代の頃から悩み続けてきた彼にはまだまだ思い切ることができない切実な問題だったようである。



ところが、卒業して何年かして再会した時、彼は剃髪に近いくらいに短く髪を切っていた。

その姿は男の自分から見てもカッコ良く、まるで持ち前の男気を体現しているかのようだった。

彼自身も全く気にしなくなっていた。

そのように、ある程度の年齢になれば周囲の人間にとっては大きな問題ではなくなる頭髪だが(特に男性に関しては)、これが全身に及ぶとなれば当人にとって問題の根は深くなる。



全身脱毛症あるいは汎発(はんはつ)性脱毛症と呼ばれる脱毛症がある。

これは眉毛も含め全身のあらゆる毛が抜けてしまう状態である。

よく頭皮に起きる円形脱毛症はストレスによると言われているが、全身脱毛症の原因はまだよくわかっていない。

自己免疫説が現在は有力らしい。

ある日突然に脱毛が始まり、あれよあれよという間に全身の毛が抜けたという人もいる。

命に関わることはないし、感染することもないが、治癒が難しいことから「悪性の脱毛症」とも呼ばれているらしく、原因がわからないこともあって、治療もなかなか効を奏さないようだ。

ちなみに円形脱毛症であれば東洋医学的には腎の関わりやストレスとの関係で治療が組み立てられる。

現代医学だとステロイド剤の内服などで効果があるとされているようである。



基本的に体毛の役割は以下の点に集約される。

①皮膚の保護

単純に考えても頭髪なら外界からの衝撃や紫外線から身を守るものだし、眉毛やまつげは汗やホコリから目を守るのに必要だとわかる。鼻毛は空気中のゴミやチリを吸い込まないためのフィルターの役割を果たすとともに、呼吸する際に空気を温めて肺に負担をかけないようにしてくれる。また、陰毛は生殖器を守り、腋毛は汗を発散させ、皮膚同士の摩擦から保護するのに役に立ってくれている。

②触覚機能

体毛への接触から得られる感覚は、皮膚に直接触れた時のものとは全く別次元な感覚として我々は感じることができる。場合によっては暗闇の中でも危険や障害物を察知することができることもある。これは全く個人的な見解でしかないが、この体毛への接触で得られる感覚は「気」的なものに近いようにも感じられ、当院で行っている「刺さない鍼による治療」にも何らかの関わりを持っているのではないかとも思えるのである。何らかの実験による知見などではなく、全くの経験的な私見でしかないのだが・・・。

③体温の維持

寒くなると鳥肌が立つが、これは体毛を立たせることで空気の層を厚くして体温に逃がさぬようにしていた頃の名残である。現代人の体毛では保温の役割は薄いが、頭髪などはまだまだ保温の役割を果たしてくれている。床屋で刈り上げてもらったところがスースーして寒く感じるのはそれだけ頭髪に温めてもらっていた証拠だろう。

④性的特徴・ファッション性

上記の実利的な役割よりも、全身脱毛症の人にとってはおそらくこれが最も大きな悩みになっているのではないだろうか。頭髪はそまざまな髪型にすることでファッションを楽しみ、美やカッコ良さを演出する道具となる。また、学生、社会人、職種、性格などアイデンティティーの体現になることもある。眉毛の存在はそれ自体が「人」としての「当たり前の容貌」の要素となる。ヒゲや体毛は時として男らしさや力強さのアピールになることもある。



以上のような役割を担う体毛を失うことは、やはり本人にとっては大きな損失であることは間違いないだろう。

そんな全身脱毛症であることをカミングアウトした芸能人もいる。

「エレクトリックリボン」というアイドルグループのpippiさんである。

彼女は2019年2月にウィッグを使用していることをブログで告白した。

年頃の若い女性で、しかも人前に出る職業ということもあり、当初はかなり悩まれたようだ。

しかし、同じ病気で悩んでいる人たちへのエールになればとカミングアウトすることにしたとか。



そんな彼女に密着した記事が出ている。

写真も掲載されているが、その表情は非常に明るく美しい。

最近では瀬戸内寂聴さん以外にも女性の僧侶がテレビに出てくることもあり、女性のスキンヘッド姿は以前ほど違和感なく世間に受け止められているのではないだろうか。
https://www.narinari.com/Nd/20190654991.html



彼女の脱毛が始まったのは2017年11月で、2018年の夏の終わりには全身の毛がほとんど抜けてしまったという。

ふと気づくと右耳の後ろから髪がなくなってきて、約5ヶ月で全身の毛が抜け落ちてしまったとのこと。

18年9月からウイッグをつけ始め、そのまま仕事を続けていた。

しかし、カミングアウトする前の舞台で転倒したことがあり、ウイッグがズレたのが分かり、しばらく頭を抱えながら倒れたままだった。

その時に「そろそろちゃんと伝えなきゃな」と思ったこともカミングアウトのきっかけになったようだ。

記事では現在のウイッグの機能性の高さなどにも触れられている。

ちなみに、彼女の告白ブログは以下である。
https://lineblog.me/er_pippi/archives/13215318.html



彼女の告白にはやはり大きな反響があったようで、中には「アイドルやめなくていいの?」というものもあったとか。

投稿した本人には悪気はなかったと思うが、pippiさんにしてみれば「髪の毛がないとアイドルやめないといけないのかなあ」とも思ったとか。

しかし、毎日変幻自在にヘアスタイルを変えられるという利点もあり、前向きに捉えているようである。



芸能人ではないけれども、小さい頃に全身脱毛症になってしまった男性の、これまでの成長と心の軌跡を綴ったサイトもある。

小さい子はなかなかに残酷なところがある。

そんな中で生きていかなければならなかった子供の頃の彼の苦しみは如何ばかりだったろうか。

社会人となり、結婚し、子供をもうけるまでが綴られている。
https://kototato.lers.jp/navi04/index.html



最近では性の多様性も社会的に認知されてきており、そういう意味では人としての多様性も受け入れられやすくなってきているのではないだろうか。

そんな社会に早く成熟して欲しいものである。

ところで、冒頭の友人は学生時代に知り合った他校の美人さんと卒業後まもなく結婚し、娘さんも二人出来て、時々嫁さんに薄毛だったことをいじられながら、まさに絵に書いたような幸せな家庭を築いている。

羨ましい限りだ。

やっぱりモテる男は髪などなくてもモテるのだ。

チキショー(笑)!



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