リシューマニア症
2021/06/11
数年前、豚コレラが愛知や岐阜などで感染が大きな話題となった。
その時、自分は「豚コレラ」などという病気があることを初めて知った。
本当に世の中にはまだまだ知られていない病気がたくさんある。
豚コレラはとりあえず今のところは人に感染はしないらしい。
しかし、このリーシュマニア症という病気はリーシュマニアという名の原虫による人獣共通の感染症の総称とのこと。
現在世界中で猛威を振るっている新型コロナももとは野生動物からの感染だったともいわれている。
そうした事例に学びながら、今現在は動物のみがかかる病気であっても、決して油断してはならないことを肝に銘じておかなければならない。
【 症 状 】
リーシュマニアという原虫にはいくつかの種類があり、それによって症状にはかなりの差があるとされている。
大きく分けて内蔵型と皮膚型があるそうだ。
内蔵リーシュマニア症
〇感染後数ヶ月~数年で発症。
〇発熱、貧血、肝臓・脾臓の肥大という症状。放置すれば死に至る疾患。
〇オーストラリア大陸を除くすべての大陸の熱帯・亜熱帯地域に見られる。
(特にバングラデシュ・ブラジル・インド・ネパール・スーダンなど)
皮膚リーシュマニア症
〇感染後数週間~数ヶ月で発症。
〇皮膚に痛みを伴う潰瘍や結節が生じる。
〇比較的軽症で、自然に治癒して醜い瘢痕を残すだけの場合もある。
〇皮膚型の中の粘膜皮膚型の場合は刺された箇所から広がり、鼻や口腔、喉頭の粘膜まで転移し、進行すると顔の外観を損なうほどに悪化して時に致死的になることもある。
〇皮膚型はアフガニスタン・ブラジル・イラン・ペルー・サウジアラビア・シリアなどでよく見られる。
(粘膜皮膚型はボリビア・ブラジル・ペルーなどに多い)
【 疫 学 】
本疾患は熱帯や亜熱帯の88カ国、1200万人が感染しており、毎年130万人の新たな感染者を発生し、3~7万人が死亡しているという。
日本ではあまり知られていないだけで、多くの人が亡くなっている怖い疾患のようである。
世界的には緊急を要する6つの感染症の1つとのこと。
サシチョウバエや犬の媒介によって感染する。
薬物乱用者は注射針の共有で感染することもあるという。
栄養失調、衛生管理の低下、免疫機能の低下、等々の理由によって世界で最も貧しい人々に影響を与える病気となっている。
【 治 療 】
経口投与が可能なミルテホシンなどの薬剤が治癒率95%という高い効果を示しており、きちんとした治療を受けることさえできれば、7万人などという死亡者を出さずに済むようである。
予防のためのワクチンは現在でも開発されていないが、2015年に日本の富山大学医学部の研究チームにより有効なタンパク質が発見されており、マウス実験でも効果が確認されたようなので、数年のうちには大きな成果が得られるようになるかもしれない。
現在オセアニアでは見られないとされているが、交易が進めば進むほど感染のリスクは上がる。
同じことは日本にも当てはまり、気候が亜熱帯化しつつある中では、いつか発症者を出す危険性はあると思う。
ちなみに、上記の「緊急に対策を要する6つの感染症」とは何を指すのか、調べてみたが明確にはよくわからなかった。
もしかしたらマラリア、結核、AIDSあたりを指すのだろうか。
いずれ、「緊急を要する疾患」の一つが日本の学者の研究によってコントロールすることができるようになるのならば、これほど喜ばしいことはない。
ただし、貧困がそれを妨げる壁とならないことを祈るばかりである。
現在、コロナワクチンも国によって接種率が異なる。
日本や韓国のように経済大国でありながら接種率の低い国というのは明らかに政治の責任であろうが、経済的なハンディを持つ国はどうしても供給が遅れがちになってしまう。
また、そうした国々は効果が比較的低いワクチンに誘導されてしまいがちでもある。
そうした実態を見ていると、「平和」とか「平等」を売り文句に、感動を演出しようとするオリンピックが空々しいものに見えてくる。
選手の方々が本当に血のにじむような努力を積み重ねて最高のパフォーマンスを発揮しようとしている舞台が汚されていくような気がしてならない。
貧しさゆえに苦しめられる疾患というものは本疾患以外にもまだまだあるだろう。
あまりにも開きすぎた経済格差が解消され、貧しさゆえに病に苦しむことのない世界が本当に来てほしいものである。
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