おのでら鍼灸経絡治療院

体のこと、あれこれ

スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)/ 中毒性表皮壊死症(TEN) 

2017/08/29

二つの疾患名を書いた。
それぞれ診断基準も明確に分けられているこれらの疾患。
だが、症状はかなり似通っているし、関連も深いのである。
その為、これらの症状を疑うときに、二つを分けては考えられないようなので、同時掲載とした。
まずは、スティーブンス・ジョンソン症候群(以下SJSと略)。
大きく分けると皮膚疾患である。
高熱とともに唇や、口の中、目の白目部分、外陰部など粘膜にひどい発赤、びらん(皮膚のただれ)、出血などが現れる。
さらに全身の皮膚にも紅斑、水ぶくれ、びらんが認められる重篤な疾患である。
その原因の約6割は薬剤だそうで、最重症型の薬疹の一つと考えられている。
発症頻度は人口100万人あたり年間1~6人と極めて低いものの、死亡率6.3%と死亡に至るケースもあるとのこと。
皮膚疾患とはいえ、決して油断のできない疾患のようだ。
薬剤以外の発症原因としては、単純疱疹ウイルス、肺炎マイコプラズマ、細菌、真菌等の感染症や、食べ物、内分泌異常、悪性腫瘍、物理的刺激によって起きる皮膚反応アレルギーなどが挙げられている。
このように原因が多岐にわたっているが、発症機序自体は未だによく分かっていないとのこと。
従って、原因の約6割が医薬品であるといっても、その投与に先立って予知することは非常に困難だという。
一方、中毒性表皮壊死症(以下TENと略)は唇や口の中、目などに症状はあまり現れないが、脇の下や外陰部、体幹などの広範囲に紅斑が出現したあと、急速に水ぶくれとなり、その水ぶくれは破れやすく、全身に皮膚ただれが生じ、擦るだけで皮膚が剥がれるという。
なんとも凄まじい疾患である。
実はこの水ぶくれや皮膚が剥がれた面積が10%以下のものがSJSで、30%以上のものがTEN、10~30%のものがSJS/TENのオーバーラップであるというのが世界的に統一された診断基準なそうだ。
SJSからTENへ移行するケースもあるという。
確かにそれぞれ微妙に症状に違いはあるようだし、重症度も極めてTENの方が重いようではあるが、皮膚ただれの面積で診断名を分けるということにどれだけの意味があるのかはよく分からない。
TENは見た目が熱傷にも似て、疼痛もひどく、検査所見では血液、肝、電解質などに異常を認めるという。
肝、腎、呼吸器、消化器等の多臓器障害を合併することもあるとのこと。
発症頻度は人口100万人当たり0.4~1.2人とSJSよりもさらに低いが、死亡率は20~30%と高くなる。
そして、TENの発症原因は90%以上が医薬品とのこと。
治療法はどちらの疾患であっても、発熱や発疹等の初期症状を認めた場合には、原因と推定される医薬品の投与を直ちに中止することが最も重要である。
こうしてみると、薬疹が出る人は結構いるので、SJSやTENになる手前ギリギリで事なきを得ているという人は結構いるのかもしれない。
仮に医薬品の投与を中止してもSJS、TENへと重症化する場合もあるとのことなので注意は必要である。
実際に発症してしまった場合は、副腎皮質ホルモン剤の全身投与や血漿交換療法、ビタミン類の投与などが行われる。
医薬品が主な原因の疾患なので、特別なマニュアルが平成18年に厚生労働省から発表されている。
自分は、風邪をひいた程度で薬を飲むことは、もうここ30数年以上はない。
自分の自然治癒力に頼りたいと思っているからである。
また、鍼灸の仕事に携わり、鍼灸が内科的な疾患においてもその力が発揮できることを実感している。
突発性難聴を発症した時も病院にはいかず、自分で治した。
そんな自分ではあるが、一方で西洋的な薬剤に頼るべき場合があることも知っている(数年前に手術を受けたときは抗生物質などのお世話にはなった)。
もちろん体質的に西洋的な薬剤が合わない人もいるけれども、自分を始め、ほとんどの人は薬と無関係に生きていくことは不可能だろう。
そんな薬は、作られる段階で幾度となく安全を確保するための試験が行われている。
それでもわずかだが一定の割合で副作用が生じることを前提として薬は作られる。
薬を服用することのリスクは上記の発症率や致死率を見ても極めて低いけれども、決してゼロではないということを私たちは肝に銘じておくべきであろう。
ではいかにしてそのリスクを減らすか。
それはやはり可能な限り薬への依存を減らすことにほかならない。
薬を飲む機会が少なければ少ないほど、薬害にあう可能性も低くなる。
また、昨今はあまりに身の回りの環境を綺麗にし過ぎて、逆に免疫機能を弱らせてしまっている人も多いようである。
何らかの理由で免疫機能が下がっている場合には気をつけなければならないが、全くの健康体の人が潔癖を求めるがあまり逆に免疫機能を低めてしまうのは本末転倒である。
なかなか難しいけれども、可能な限り自分の治癒力・免疫力を高めておくことで、仮に薬を使わざるを得なくなった場合でも、その効果を遺憾なく発揮できるのではないだろうか。
100%の拒否もしないが、安易に頼らない。
今回は主に薬害を起因とする疾患を取り上げたが、薬と健康との関係性というか、距離感みたいなものをたまに考えてみるのもいいのではないだろうか。

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