おのでら鍼灸経絡治療院

体のこと、あれこれ

カサンドラ症候群

2023/01/18

実はこの病気、正式な病気とは認められていない。

しかし、確かにそこには苦痛に悩む人がいるのである。

今では「アスペルガー症候群」という言葉を聞いたことがある人も多いであろう。

学校、教育関係者はもとより、TVでも度々取り上げられることも多くなっている。

そのアスペルガー症候群の伴侶を持つ人に現れる症状である。

なぜアスペルガー症候群の伴侶を持つ人にカサンドラ症候群が現れるのか。

まずはアスペルガー症候群を復習してみよう。



当サイトでアスペルガー症候群を取り上げたのは2012年9月である。

人は他人とコミュニケーションを取る際、相手の表情や仕草、雰囲気から多くのことを感じ取り、相手が話したことがジョークなのか、真剣なのか、なにかの比喩なのか、あるいは皮肉なのかを判断する。

そしてそれに応じた対応をする。

しかし、アスペルガー症候群の人たちは高い知性を持ちながらも、言葉以外の情報を読み取ることが難しいために、皮肉を効かせたところで言われた言葉を額面通りにしか受け取らず、言われた言葉通りの対応しかしないため、場合によっては相手の怒りの火に油を注ぐような結果となることもある。

また、「他人と共感する」ことがとても苦手でもある。

その他に注意欠陥、多動性障害、学習障害などを併発することもある。

普段の基本的なコミュニケーションや知性には何ら問題がないだけに、ますます「変人」の烙印が押されかねない状態となる。



そんなアスペルガー症候群の人を伴侶に持つ人がカサンドラ症候群に陥りやすくなるのである。

具体的には相手とのコミュニケーションがうまく行かず、分かってもらえないことから自信を失ってしまう。

また、世間的には問題なく見えるため、伴侶への不満を訴えても人々から信じてもらえないことなどからくる精神的・身体的苦痛が生じるというものである。

当然のことながら、アスペルガー症候群も現在では広く認知されてきている症状であり、夫婦のどちらが悪いのか、という問題ではないことは認識しておかなければならない。



カサンドラ症候群の症状としては偏頭痛、体重の増加・減少、自己評価の低下、パニック障害、抑うつ、無気力などが見られるという。

パートナーとの情緒的な交流がうまくいかない原因がわからないことと、周囲が問題の存在さえ理解してくれないこと、この二つが問題の本質であるとされている。

ちなみに、アスペルガー症候群は男性の方が女性の4倍も多いため、カサンドラ症候群を訴える人は圧倒的に女性の方が多いこととなる。

夫のアスペルガー症候群にも妻のカサンドラ症候群にも非があるわけではなく、夫婦間に生じる問題の原因に向き合い、適切な支援を受け、パートナーのお互いがより良い生き方を模索するために、カサンドラ症候群を理解することが必要であるとされている。

なお、カサンドラ症候群は妻だけでなく、家族、友人、会社の同僚にも起こりうるという。

アスペルガー症候群という疾患の本質を知らずに、真面目に対応しようとすればするほど陥りやすくなるのかもしれない。



人は支え合うことによって感情的エネルギーの交流が生まれ、幸福感を見出すことができるが、アスペルガー症候群を伴侶に持った場合はそれが極めて難しくなる。

妻はエネルギーを差し出すが、パートナーから受けとるものはほとんどなく消耗するばかりである。

カサンドラ症候群を克服するには、妻がアスペルガー症候群の知識を持ち、夫が自らをアスペルガー症候群と自覚することが前提となる。

その上で互いの違いを理解し、互のために勉強し、協力するならばふたりの関係はうまくいくことがあるという。

しかし、現実は男性本人も周囲も、アスペルガー症候群であることに気づかないまま大人になっている場合も多く、そのことがカサンドラ症候群の克服を難しくしているという。

確かに「変人」というレッテルのもとでは、「病気」を疑って受診することなど極めて希かもしれない。

そもそもアスペルガー症候群は「病気」ではなく、「個性」であるのだから。



そういう意味ではカサンドラ症候群も伴侶がアスペルガー症候群の人に限って現れる症状なので「疾患」という規定は難しく、「状態」や「現象」と呼ぶのがふさわしいとされている。

アメリカ精神医学会の診断基準にも含まれていないとか。

しかし、正式な病名ではないにしてもそれなりに診断基準はあるようで、興味のある方は以下を参照してみていただきたい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/カサンドラ症候群



カサンドラ症候群に陥りやすい人はやはり基本的に真面目な人が多いようだ。

「夫婦はこうあるべき」との思いが強いと、夫に対する要求も強くなり、しかしそれが報われないと自分が間違っているのではないかと悩んでしまうのである。

一方、アスペルガー症候群は共感が苦手で、言語以外の情報を汲み取ることが難しいし、「思ったことをそのまま口にする」ことも多いため、「心無い言葉」を頻繁に発したりもするが、そこに悪意があるわけではなく、むしろ「純粋」と思われることもある。

自分が経験したことがないことや、初めてのことなどには無関心になるが、「自分が経験して納得したこと」に対しては強力に突き進み、優れた力を発揮したりもする。

また、何かをして欲しい際に、それをすることでどのようなメリットがあるかを理路整然と説明され、納得するときちんとやってくれたりもする。

共感は難しいがその部分を除くと基本的に「良い人」が多いとも言う。



要するにアスペルガーの特性を熟知し、対応の仕方を変え、「パートナーとの関係はいろいろな形があっていい」と思えるようになるだけでも随分と変わるとのこと。

このように対応を変えるとか、自分専用の部屋を作り家庭内別居をしてみるとか、いろいろしてみても当然うまくいかないケースももちろんある。

その時は自分を守るために離婚という選択肢もある。

実際、アスペルガー症候群とカサンドラ症候群に悩む夫婦の相談に応じるカウンセラーは、離婚に至るケースは10組中2組程度いるそうだ。

しかし、この2組という数字は問題の程度からすると少なく思える。

多くの人が何らかの上手く折り合いをつける方法を見つけているという表れかも知れない。



アスペルガー症候群の認知が広がるにつれ、カサンドラ症候群の存在も認識されるようになり、患者会のような自助グループもできている。

ある団体はなんと500名からなるという。

思った以上にアスペルガー症候群自体と、その伴侶に悩む人が多いことが伺える。

年代もある程度若い世代から子どもを抱えるママ世代、シニア世代といて、それぞれのニーズに合わせて月に1~2回の「カフェ」を開き、悩みを共有したり、情報交換をしているそうである。


「病気になっても夫は一切関知しない」

「妊娠中に出血したので病院に連れて行ってと頼んだら『いま、模型を作っているところ』と待たされた」

「生活費は5万円と決めたら何があってもそれしか出さない」

「将来の見通しが全くなく、貯金がゼロ」


ちょっと聞くだけでも、そこにはなかなか深刻な夫婦生活の実態がある。

これでは妻が精神的に参ってしまうのも当然である。

しかし、繰り返し言うが、夫には全く悪意がないのである。

だからこそ問題はより一層深刻になっていくのであろう。

だが、「変わらない」と考えられていたアスペルガー症候群でも、本人が自覚し、それと向き合おうとすることで「変化」することができたケースも存在する。

もし「もしかして」と思えることがあるとしたら、ぜひ下記の記事も参考にしていただきながら、しかるべき機関へ相談してみてほしい。
https://www.jiji.com/jc/v4?id=201705kasandora0001

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