おのでら鍼灸経絡治療院

当院の得意とする疾患

起立性調節障害

「うちの子は朝が起きられない」「ゴロゴロしてばかりいる」そんなことを思い、わが子の怠け癖、怠惰な生活を嘆いていませんか?でも、それって起立性調節障害(OD)という病気かもしれません。これは思春期にあたる少年・少女らが苦しめられている疾患です!発生頻度は5~10%なので、40人クラスに2~4人はいる計算になります。決して珍しい病気ではありません。 人は重力によって血液が下半身に貯留しやすくなります。
そうなると血圧が下がってくるので、それを自律神経の働きで血管を引き締め、心拍数を上げて循環を促し、血圧のコントロールをしています。
しかし、思春期という急速に発育する時期は自律神経のバランスが崩れやすく、その血圧のコントロールがうまくいかなくなることがあります。
それが起立性調節障害という病気です。
立つと血液が下半身に溜まりやすくなり、血圧が下がることで体調が悪くなるため、血液が下がらないように寝た状態の方が全身に血液を行きわたらせて体調を保てるので、必然的にゴロゴロしているのが楽になるのです。

現代医学的に見る起立性調節障害

起立性調節障害の病態・症状

○朝に起きられない ○めまい・立ちくらみ
○全身倦怠感 ○動悸・息切れ
○睡眠障害 夜になると調子がよくなり、かえって目がさえ寝付きにくくなります。
眠くならないし、退屈なのでついついテレビを見たり、ゲームをしてしまい、「夜更かしの朝寝坊」という印象を与えてしまいます。
○頭 痛
○食欲不振
○腹 痛
○イライラ感・集中力の低下 ○不安障害

起立性調節障害の診断基準とタイプ

下表の(大症状が三つ以上)、あるいは(大症状一つ+小症状三つ)、または (大症状二つ+小症状一つ)の症状があると当てはまり、他に身体的疾患が認められない場合に診断基準となります。
しかし、実際には起立試験で異常が見られないと、病気ではないという診断が下されることも多いようで、不登校と勘違いされているケースもあるそうです。
「診断基準」とされている以上、正確な適用が求められます。その訴えが仮に嘘であったとしても、別な意味でのサインかもしれません。

大症状 A 立ちくらみあるいは目まいを起こしやすい
B 立っていると気持ち悪くなる、ひどくなると倒れる
C 入浴時、あるいはいやなことを見聞きすると気持ちが悪くなる
D 少し動くと動悸、あるいは息切れがする
E 朝起きが悪く、午前中調子が悪い
小症状 a 顔色が青白い
b 食欲不振
c 強い腹痛
d 少し動くと動悸、あるいは息切れがする
e 頭痛
f 乗り物酔い
g 起立試験による脈圧の狭小化(16mmHg以上)
h 起立試験で、収縮時血圧が安静時より21mmHg以上低下する
i 起立試験で脈拍数が1分間あたり21以上増える
j 起立試験で典型的な心電図がみられる
「しばしば」「時々」「たまに」など頻度の質問もして、それも考慮し陽性かどうかを判定します。

① 起立直後性低血圧( INOH) ODで最も多いタイプで、起立直後に一過性の強い低血圧があり、眼前暗黒感などの 強い立ちくらみ、 全身倦怠感を覚えます。
② 遷延性起立性低血圧( delayed orthostatic hypotension) ODで最も少ないタイプで、起立直後の血圧と心拍数は正常です。しかし、3~10分後に血圧が徐々に低下し、動悸・冷や汗・気分不良などの症状が出ます。
③ 体位性頻脈症候群( POTS) 2番目に多いタイプで、上記①②のような血圧低下はありませんが、心拍数が増加し、全身がだるい、ふらつく、頭痛などの症状があります。
④ 神経調節性失神( NMS) 3番目に多いタイプで、起立直後の血圧と心拍数は正常です。しかし、突然に収縮期と拡張期血圧が低下し、起立失調症状が出現し、立っていられなくなり、失神、失神前状態を生じます。顔面蒼白や冷汗などの前駆症状を伴い、けいれん発作を起こすこともあります。

上記①②③の経過中に生ずることもあります。 ※なお、診断基準については別のものもあります。

起立性調節障害の原因

直接的な原因は自律神経のバランスが崩れるからですが、それが何故起きるのかはまだあまり良く分かっていません。
偏頭痛に関しては近親者にも同様の病歴を持つ場合もあり、多少なりとも遺伝的要素もありそうですが、現在はまだ不確かです。
ただ、発症しやすい性格はあるようです。繊細で、周囲に対する気配りができる気質です。幼少期から育てやすかったという親御さんも意見もあるようですので、「優等生・良い子」である傾向があるようです。
このような性格のお子さんは結果的にストレスをため込みやすく、不調を感じても「心配かけたくないから」と黙っていることによって症状が悪化させることもありがちです。
また、優しい性格ゆえにいじめの環境にさらされるケースもあるそうです。

起立性調節障害の治療

〔 非薬物療法 〕
○規則正しい生活リズムの回復
○塩分1日10~12g、水分は少なくとも1日1.5リットル摂取する
○弾性ストッキングやODバンド(加圧式腹部バンド)で血圧低下を防ぐ
○精神的ストレスで悪化するケースもあり、心のケアも必要
〔 薬物療法 〕
○昇圧剤

東洋医学的にみる起立性調節障害

当院では起立性調節障害の本態を肝・心を中心とした臓病と診ています。全身の気の流れを整える中で肝・心の働きをしっかりと活性化させていきます。
また、それと同時に「小野寺式リリース」により下肢のうっ滞している状態を改善し、全身の循環を促していきます。
ほとんどのケースで、その場での症状の緩和が認められます。その治療の積み重ねの中で恒常的な体質改善が図られていきます。
なお、一般的に起立性調節障害で注目されているのは小・中・高校のいわゆる思春期にある子供たちですが、それ以降の年代でも本疾患にかかっている方はおられます。
同様の症状でお悩みの方はぜひ鍼治療をお試しになってみてください。

起立性調節障害の日常的に気を付けること

○まずは病態に関する正しい理解を親御さんが深め、けっして怠け者病ではないことを認識しましょう。見た目以上に心理的に不安を抱えています。
○一日の中では午前と午後で体調が変化するように、一年で見れば春先から夏にかけて悪化しやすく、秋に涼しくなると比較的軽快しやすくなります。
年間を通じて体調の変化を見ていく必要があります。
○症状の改善する時間帯の登校や、血圧低下を招く長時間の立位や座位を避け、楽な体位で学習できるような配慮など、担任教師をはじめ学校側や周囲の理解を得ましょう。
○その上で、なるべく早い回復のためには生活スタイルの改善も必要であることを患者本人も理解し、積極的に取り組みましょう。
基本的にあまり横にならない 体調不良であっても昼間はあまり横にならないようにします。横になると血圧を調整しようとする身体の仕組みが働かなくなります。
なので、一旦横になると身体は起きた時、また最初から血圧変動に対応することになるのです。  
激しい運動は避けるが軽い運動はなるべく行う 散歩程度の運動をなるべく行い、筋肉のポンプ作用で血液をなるべく下半身に残さないようにするとともに、交感神経を適度に刺激させます。
心拍数が120以下の軽い運動は勧められますが、競争するような負荷のかかる運動は避けます。体育授業の可否は疾患の軽重によって変わりますので、主治医とよく相談しましょう。
 起床・起立時の動きに注意 30秒ほどかけて、ゆっくり起き上がり、立ち上がりを行います。起立中は足踏みする、両足をクロスさせるなどで血圧低下をなるべく防ぎます。  
早寝早起き 朝起きられず、夜に調子が良くなるので、つい夜型の生活パターンになり、さらに朝に起きられないという悪循環に陥りやすくなります。
意識的に生活パターンを変え、その悪循環になるべく陥らないようにします。  
気温上昇を注意 気温が高くなると血管が拡がり、加えて脱水での血圧低下をきたしやすくなります。
春先から夏にかけてこの疾患が重症化しやすく、秋口から軽快しやすいのはそのためです。
○ODの子供さんはあまり塩辛いものを好まない傾向にあるようですが、循環血漿量を増やすためにやや多めの食塩摂取が勧められているようです。
水分量の多めの摂取を勧められるのも同様の理由からでしょう。
○重症な場合は学校の欠席が重なり、成績の低下や留年など学校生活に少なからぬ影響が現れる場合もあるようです。
しかし、約9割の子供は高校を卒業し、大学進学率も平均並みだといいます。病気と闘う覚悟を決めると同時に、希望を捨てないことが大切です。

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