おのでら鍼灸経絡治療院

当院の得意とする疾患

自律神経失調症

人類の遠い遠い祖先が、まだ海の中で暮らしていた頃は副交感神経しか無かったそうです。海中から陸上へと住む場所を移し、環境の変化や生存競争が激化する中で交感神経が発達してきたというのです。
現代のストレス社会に暮らすものには、なにやら身につまされるようなエピソードです。自律神経失調症とは生物学的に、社会経済学的に起こるべくして起こっている病気なのかもしれませんね。

活動的な交感神経とリラックスの副交感神経

自律神経について、まず基本的なところを確認しておきます。
体のあらゆる機能をコントロールする自律神経は、交感神経と副交感神経で構成されています。
そのどちらが優位に働くかで体質や病気のなり方が分かれます。
さて、あなたはどちらでしょうか。
自分を知ることが改善への第一歩です。
ご自身の体質を一度振り返ってみましょう。

交感神経タイプ

  • 色黒
  • やせ型、筋肉質
  • 攻撃的、働き者
  • 胃もたれしやすい
  • 便秘症
  • 便秘と下痢をくりかえす
  • こむら返りをよくおこす
  • むくみやすい
  • 不整脈
  • 肩こり
  • 腰痛

副交感神経タイプ

  • 色白
  • ぽっちゃり型
  • やさしく穏やか
  • アレルギー体質
  • 下痢しやすい
  • 少し動いただけで疲れてしまう
  • 運動が苦手
  • 食後すぐに横になりたがる
  • むくみやすい
  • 不整脈

(絶対的な線引きではありません。どちらでも起こりうる症状もあります。)

学生の頃、交感神経の説明として例え話でされたのは「ケンカのときに働くのが交感神経」ということでした。車でいうアクセルに例えられることもあります。

  • 相手をよく見るために瞳孔を開く
  • 筋肉の力を最大限に発揮させるよう全身に酸素を送るために心拍数を上げる
  • 出血を抑えるために血管を収縮させる
  • トイレに行かなくとも良いように括約筋を締める

などです。
一方、副交感神経は「リラックスと消化・排泄で働く副交感神経」です。ブレーキにも例えられます。

  • 瞳孔を縮小させる
  • 気管支を収縮させる
  • 消化器系の働き促進
  • 膀胱を収縮させる

などです。
そのような交感神経と副交感神経ですが、これらのバランスが崩れると一般的に自律神経失調症といわれる病気だけでなく、あらゆる病気の引き金になると提唱している先生方がおられます。

「福田―安保理論」について

あなたは「福田―安保理論」というものをお聞きになったことがあるでしょうか。

福田稔・安保徹両先生が提唱されている「福田―安保理論」を端的にいいますと、「自律神経は白血球の働きと密接にかかわり、交感神経が緊張すると顆粒球(かりゅうきゅう)が増加し、副交感神経が緊張するとリンパ球が増加する」ということです。

つまり、単に自律神経が体の機能のアクセルやブレーキの役割に止まらず、「白血球の増減にも関わっている」という視点を持つことで、あらゆる病気の成り立ちの説明ができるというのです。

詳細は先生方の著書を一読されることをお勧めしますが要旨を簡単に紹介します。

交感神経と病の関係

交感神経にコントロールされている顆粒球は古くなって死んだ細胞の死骸などサイズの大きい異物を処理する役割を持っています。寿命は2~3日と短く、その役目を終えるときに活性酸素を放出します。
その活性酸素は強い酸化力を持ち、正常な組織をも次々に破壊していくのです。 もともと人のからだには、その活性酸素を無力化する仕組みがあるのですが、交感神経が緊張して顆粒球が増えすぎると、それが追いつかずに万病を招く元凶となるのです。 多すぎる活性酸素は「化膿性疾患」や「潰瘍性疾患」「全身の老化」などを引き起こします。
活性酸素は臓器などの内表面を覆う組織の再生を加速させる作用もありますが、再生が亢進しすぎると悪性化がおこりやすく、ガンのリスクが上がります。 また、血管を直撃して動脈硬化を促します。
例えば腰椎ヘルニアなど整形疾患であっても説明がつくとしています。 交感神経が過剰にはたらいて、腰部の筋疲労や過緊張が長く続くと血流障害を起こし、血流障害がおきると同時に活性酸素が増えて、そのために少しずつ組織破壊が進み、それによって椎間板の弾力性が失われ、周りの骨破壊も進み、ついにはヘルニアを起こすというのが本病の経過だというのです。 なので、ヘルニアを「神経への圧迫」という観点からだけ捉えていては、改善は難しいというのです。
確かにヘルニアの除去術をやったのにもかかわらず、あまり改善しない患者さんを私も何人も見てきております。
また、逆に腰椎ヘルニアの診断を受けた人でも鍼灸治療によってその場で改善していく患者さんも何人も経験しております。
これが一見自律神経とは関係なさそうな整形疾患においても、その根底に自律神経の乱れがあると先生方が指摘された根拠なのです。
また、交感神経の緊張が続くと次のような状態もおきます。 血管収縮により血流障害をおこします。血流障害は細胞に酸素や栄養を運べなくなり、二酸化炭素や老廃物の回収をできなくしてしまいます。 そのため、疲労物質や発痛物質が蓄積し、肩こり、腰痛、膝痛などの痛みが生じます。
血流障害は冷えや心筋梗塞、高血圧などの循環器系の病気を起こします。 老廃物や毒素の不要物がたまるとアトピー性皮膚炎や気管支喘息、花粉症などが生じます。 交感神経の活性化は副交感神経の抑制となりますので、本来排泄作用にはたらく副交感神経がはたらかず、便秘なども起こします。 知覚が鈍り、視力低下や難聴、味覚異常をおこします。 そのほか不眠やイライラなど精神症状もおきてきます。

副交感神経と病の関係

一方、副交感神経が緊張すると血管が広がり、血流が増えます。血流が増えて通常の範囲を超えると静脈は血液を戻し切れなくなり、うっ血がおこります。
うっ血がおこると頭部ではのぼせが生じます。 うっ血が生じるとこの場合も老廃物の排泄がうまくいかなくなり、小児喘息やアナフィラキシーショックを起こします。
排泄作用にはたらくので、過剰になると下痢や骨粗しょう症がおきます。 交感神経の逆で知覚過敏を生じ、しもやけなどのかゆみの憎悪、頭痛などの痛みの憎悪をおこします。
沈静・リラックスのし過ぎでうつ病、気力減退、食欲増進などをおこします。 ストレスによって興奮した交感神経を休めようと副交感神経反射として食欲が増してつい食べ過ぎてしまうなどはこのせいですね。
しかし、リンパ球はさらにいくつかの種類に分けられますが、その中のNK細胞はガン細胞を攻撃することを得意とします。
癌になりにくい体質で、長生きしやすいといわれます。 多くの疾患には直接の原因がそれぞれあるわけですが、その直接の原因を生み出す隠れた背景は、どちらかの神経優位が常態化することなのです。
疾患の7割は交感神経が優位になることによって、3割は副交感神経が優位になることによって引き起こされると先生方は言っておられます。 特に病気の7割が交感神経優位でおきるというのであれば、その緊張状態をほぐすことがいかに大事なことであるかが分かります。
中にはストレスを抱え込んでいても自覚できない人がいます。
責任感の強い方などは特になりやすいですから、何らかの症状を抱えている方は今一度ご自分の生活を振り返ってみてはいかがでしょうか。

自律神経と気候との関わり

そんな「福田―安保理論」の発見のきっかけは気候と虫垂炎との関わりからだったそうです。
天気の良い日に限って虫垂炎の患者さんが多い事に気づいた福田先生が気圧との関係を調べたのが始まりです。
先生はまず①高気圧では顆粒球が多く、リンパ球が少ない。逆に②低気圧では顆粒球が少なく、リンパ球が多い。
という事実を発見しました。しかし、なぜ天候によって顆粒球とリンパ球の比率が変わるのかが分かりませんでした。
次に高気圧では交感神経が活発になり、低気圧では副交感神経が活発になる事実に気づきました(それで高気圧になり、天気が良い日は妙に元気になり、低気圧になると副交感神経が活発になるので、気持ちが落ち着くのですね)。
これによって高気圧 ⇒ 交感神経緊張 ⇒ アドレナリン放出 ⇒ 顆粒球の増加 ⇒ 活性酸素の大量発生 ⇒ 虫垂粘膜の破壊 ⇒ 壊疽性虫垂炎 という一連の流れが解明されたのです。 そしてついに顆粒球やリンパ球が自律神経にコントロールされていることが組織学的にも解明されるときが来たのです。 もともと顆粒球にはアドレナリンレセプター(交感神経がはたらくときに出るアドレナリンに反応する受容器)があることは知られていましたが、リンパ球にもアセチルコリンレセプター(副交感神経がはたらくときに出るアセチルコリンに反応する受容器)があることが、白血球と自律神経の関係に気づいた5ヵ月後に発見されたのです。
こうして先生方の理論は組織学的にも証明することができました。 解明されてみると驚くほど単純な構図なのですが、これまで誰も気づかなかった病と自律神経の関係ですね。
ぜひ先生方の著書を一読されることをお勧めします。
以上のような理論を念頭に置きながら、一般的に自律神経失調症といわれるものを見てみましょう。

自律神経失調症とは

概要

上記のように「あらゆる病気の根底には自律神経の乱れがある」という視点に立てば、一般的に自律神経失調症といわれるものは何も特別なものではなく、単に現在の病院で行われる検査上では異常値が現れないだけの諸症状をひとまとめにしたものといえるのかもしれません。
病態としては、交感神経と副交感神経がそのバランスを失い、どちらか片方の機能を使いすぎたり、あるいは交感神経が興奮した状態を戻そうとして、過剰に副交感神経反射がおきるなど、いわゆるゆり戻しが大きすぎることでおきる状態を自律神経失調症と呼びます。

原因

精神的(仕事や人間関係など)・肉体的(気温、痛み、不眠、騒音、においなど)なストレスが最も挙げられますが、顎関節症などで頚部筋に左右のバランスの崩れがあると体幹にゆがみを生じ、そこから諸症状が発生するともいわれており、体の構造的な不均衡が原因になる場合もあります。
また、鎮痛剤も顆粒球を増やします。つまり交感神経を刺激します。昔、鎮痛剤を使用すると胃炎を起こしたりすることが多かったために、現在では鎮痛剤を処方されると胃薬もあわせて処方されるのはそのためです。
しかし、その影響は胃だけにとどまらず、全身の交感神経を緊張させていることに注目しなければなりません。
東洋医学においても、陰気と陽気の関わりから夜中12時前には寝るようにしたほうが良いとお話しておりますが、自律神経のはたらきから見ても、夜中は副交感神経がはたらき、日中は交感神経がはたらくようになっているので、その働きに逆行するような夜更かしなどの生活パターンも原因の一つになります。
ストレスというと嫌なもの、避けたいものだけを想像しがちですが、たとえ好きな仕事や趣味であっても交感神経の過緊張を長期間続けていれば、それもきっかけになります。

症状

一般的に自律神経失調症として捉えられている症状をまとめてみました。
頭部 頭痛、脱毛、疲れ目、まぶたのけいれん、ドライアイ、目がしょぼしょぼする、耳鳴り、耳の閉塞感、めまい、のどの異物感、圧迫感、イガイガ感、口の渇き、味覚障害、唾液が異常に出る
循環器 動悸、息切れ、めまい、のぼせ・冷え・ほてり・しびれ、高血圧、低血圧、血圧の変動、不整脈、室温や気温に関わらず突然暑くなったり、逆に手足が冷えたりする
消化器 慢性胃炎、神経性胃炎、過敏性腸症候群、下腹部の張り、食欲不振、食欲過食、拒食、吐き気、胃の不快感、便秘、下痢、ガスがたまる
皮膚 皮膚の乾燥・かゆみ、多汗症、汗が出ない、皮膚描画症
泌尿器 頻尿、尿が出にくい、残尿感
生殖器 インポテンツ、早漏、射精不能、生理不順
運動器 首・肩のこりや痛み、背中・腰のこりや痛み、筋肉・関節の痛み、力が入らない、手や足の痛み、足のふらつき
その他全身 疲れやすい、微熱、倦怠感、疲労感、寒気、力が入らない、不眠、大量の発汗や冷や汗、震え、浅眠、寝付けない、乗り物酔いしやすい

治 療 法

当院では患者さんの諸症状を東洋医学的に五行弁別しながら、問題のある経絡を明らかにし、もっとも症状の強いもの、新しいものに的を絞り施術していくという流れになります。
また、多くの疾患において交感神経が過剰にはたらきすぎているとの観点から、鍼灸のみならず、徒手療法も合わせて行い、全身の緊張をほぐすことを基本に施術してまいります。
そして、家庭でできることとして、半身浴なども推奨しております。 たとえば入浴法として、熱めのお湯に短時間の入浴はかえって血管の収縮を強め、まさに交感神経を高める入浴法となります。
このような入り方をしている人は半身浴などで体の芯から緩むような入浴法に変えるべきです。
「体のことあれこれ」のページの「風邪のときの入浴法」や「半身浴の落とし穴」という記事で半身浴を紹介していますが、普段からこの入浴法をしていると肩こりや腰痛、冷え症など改善されていきますので、ぜひ取り入れてみてください(中には半身浴が合わない方もおりますので、記事をよくお読みになってお試しください)。
また、運動も有効です。ただし、あまり激しい運動は交感神経を高ぶらせるので、ストレスを抱えている人は散歩程度の軽運動のほうが副交感神経を刺激するので良いでしょう。
逆に副交感神経優位の方はややきつめの運動を行ってみるといいと思います。その場合も体力に合わせて、負荷のかけ方にご注意下さい。

治 験 例

特徴的なケースを「体のことあれこれ」で患者さんの了承を得て紹介しております。
参考までにお読みいただければ幸いです。
・手掌多汗症
・皮膚描画症
おそらく、ここまで読み進められてきたあなたは本当に悩まれていることと思います。
当院があなたのお力になれたらこの上ない喜びです。痛みや苦しみから解放された、すこやかな体作りに向けて一緒の頑張っていきませんか?

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