ビジュアルスノー症候群
2024/06/11
この疾患名をみて、てっきり見た目が雪のように白い状態になるのかと思ったが、どうもそうではないらしい。
日本語では視界砂嵐症候群とか雪視症などと呼ばれる。
現在のテレビもそのようになっているのかどうかわからないが、昔のテレビは、その日の放送終了後に画面が砂嵐のようなものが映ったが、そのような砂嵐や、あるいは「雪」のようなものが見えるという症状である。
多くの患者は明るい場所よりも暗い場所でより多くの砂嵐が見えると報告しており、内因性の視覚ノイズであろうと推定されている。
まだまだ不明な点も多く、眼科医の中でも認知度も低い疾患とのこと。
本疾患患者の多くは砂嵐に加えてスターバースト(星状の画像)、残像の増加、フローター(飛蚊症)など他の視覚障害も併せ持っているという。
目をつぶっていても砂嵐は見え続ける。
以前は偏頭痛の前駆症状と考えられていたが、現在ではそれは否定されている。
しかし、併存することが多いのは事実のようで、この偏頭痛は視覚症状など一部を悪化させるとのこと。
視覚以外の症状としては様々な形態の頭痛、耳鳴り、集中困難があり、二次的には離人症(現実感の消失)、疲労、うつ病、不安症、言語障害と認知機能の障害なども挙げられている。
ただし、下記の罹患者のサイトでは二次的な症状はあまり見られないようで、必ずしも併発するものでもないらしい。
神経学的、眼科的異常は見られない。
特に若い成人期に発症することが多く、一部の患者は出生以来諸症状を経験し、明らかな原因がない突発性であることが報告されている。
発症人数や罹患率などの正確なデータは今のところはないという。
現在では次のような診断基準が仮定されている。
ICHD-3に基づく視覚雪症候群の診断基準 |
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A |
視覚的な雪:動的で、3か月以上続く双眼鏡の視野全体に継続的に存在する小さなポイント |
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B |
次の4つのカテゴリに少なくとも2つの他の視覚症状が存在する |
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I |
パリノプシア (以前は視野にあったオブジェクトの錯覚)(反復視:見たものの残像)。 次のうち少なくとも1つ: ①移動物体の残像(網膜残像とは異なる) ②「トレーリング」(痕跡) |
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II |
顕著な光学的現象。 次の少なくとも1つ: ①両方の目の過剰な浮遊物 (空飛ぶ蚊)、 ②目の「 自己光 」(色の付いた雲、渦、波)、 ③自発的検死 (雷、火花、アスタリスクの知覚)、 ④過度のブルーフィールド現象 (知覚) ⑤次のような明るい青色の光を見ると、無数の小さな、急速に移動するポイント B.空) |
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III |
Photo明(光に対する感度)(羞明:光がまぶしい) |
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IV |
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C |
症状は典型的な視覚片頭痛の前兆と一致しない |
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D |
症状は他の障害によってうまく説明できない |
(Wikipediaより一部改変 赤字は筆者注釈)
要はABCDすべての条件を満たさなければならず、
Aは砂嵐が3か月以上続いて見える、
Bは
①残像が見える視覚異常
②飛蚊症や火花に似たような視覚異常
③光が異常にまぶしい
④夜間の見えづらさ
のうち少なくとも二つ以上の症状がある
Cは片頭痛の前駆症状とは違うもの、
Dは脳神経学的、眼科的異常が見られないもの、
という条件を満たすことが診断条件とのこと。
原因はまだ解明されていないが脳の視覚野の抑制と興奮の不均衡からくるものとの説がある。
MRIやPETにより脳の糖代謝に普通の人にはない特徴が見られたという。
原因も解明されていないので、治療法もまだ確立されていないが、個別のケースでは抗痙攣薬により症状の軽減がみられるとのこと。
また、色眼鏡の着用などが勧められている。
調べてみると、意外にも自分はビジュアルスノー症候群であるとカミングアウトされているサイトがいくつもあった。
以下はそのうちの一つだが、生まれつきの方の場合はなかなか自分の視覚が異常であることには気づきにくいようである。
眼科医の中でもまだ認知度が低いようで、通常の視力検査ではスルーされたりもするようだ。
上述のような視覚障害により集中力を欠き、学習などへの影響も少なからずあるようである。
【治療方法なしの奇病】うちの夫はビジュアスノウ(視界砂嵐症候群) | もものはっぴーらいふ (momo-happylife.com)
上述のように生来発症されている方もおられれば、突発的に発症される方もおられる。
当初は月に一度程度、光視症が20~30分続くという症状が現れたという。
※光視症:眼に光が当たっていないのにも関わらず、キラキラ、チカチカとした光の点滅を感じるとか、暗い部屋で突然稲妻のような光が見える症状)
そのような症状が数か月続き、その後それらは消失したが、それから数か月後に突然「赤い砂粒が視界全体に砂嵐のように見える」症状が入浴中に突然現れたとのこと。
眼科・脳外科では異常なしとの診断を受けたが、ネット検索でこの疾患の存在を知ったという方もおられた。
この方の場合はかかりつけ医に相談し、片頭痛薬を処方してもらったところ、幸いなことに服用二日目に症状は消失したという。
基本的には治癒困難な疾患のようであるが、治療開始が早ければ改善も早いのかもしれない。
いずれ、眼科医の認知度が広がり、早く社会的に認知が進むことが望まれる。
東洋医学的にはどのように考えたらいいのだろうか。
視覚異常なので、基本的には心を主体に捉えるべきだと思われるが、他の経絡病変も考えられる。
もし治療経験があるという方がおられれば、是非とも御教授願いたいものである。
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