おのでら鍼灸経絡治療院

体のこと、あれこれ

尺膚診

2017/09/27

東洋医学における診断は、問診と、患者さんの体が示す何らかの反応を感じ取ることによってのみ行われる。
体が示す反応とは色であったり、硬軟であったり、声であったり、脈であったり、時には臭いであったりもする。
そして今日の主題の皮膚はその反応を拾う代表的な対象の一つである。
東洋の陰陽思想は、宇宙のあらゆるものを二極面で表す。
人体についても陰陽でとらえる。
例えば上半身は陽で、下半身は陰。
表面は陽で、深部は陰。
背中側は陽で、腹側は陰。
等々その表現は際限なく続く。
それら陰陽の見方を更に細分化したのが「木・火・土・金・水」の五行である。
経絡で言うと肝・胆経が木。
心・小腸経が火。
脾・胃経が土。
肺・大腸経が金。
腎・膀胱経が水となる。
体を構成するものでは目・筋・爪などは木。
舌・脈・毛(うぶ毛)は火。
唇・肌肉・乳は土。
鼻・皮膚・息は金。
耳・骨・髪は水。
などというようにあらゆるものを五行に分類する。
これら五行は色や味覚、声の質、そして感情すらも分類される。
「金」に配当されている体の構成物で最も代表的なのが肺である。
なので、鍼灸師は五行を言い表す際に単に金とは言わずに「肺」を頭につけて「肺金」と表現する。
同様に「木は肝木」、「火は心火」、「土は脾土」、「水は腎水」と表現する。
皮膚は肺金に分類されているように、肺との関わりが深いものである。
よく子供の頃に喘息を持っていて、それが治まったら今度はアトピーが出たとかいう方がいる。
そうしたケースでは、西洋医学の場合、呼吸器科から皮膚科へ転科される。
しかし、私たちから見ると喘息とアトピーは同系列の疾患なのである。
さて、この皮膚。
皮膚も診断の際に大きな情報を提供してくれる。
皮膚を使って体質や病変を見る診断法を「尺膚診(しゃくふしん)」と言う。
そもそも肌質というものは各人によって異なるが、ここにも五行分類がある。
それは主に前腕部で確認される(前腕部を尺という)。
ピーンと張り詰めたような肌は肝木。
ツルツルした肌は心火。
ゆるい肌は脾土。
カサカサ枯燥した肌は肺金。
シットリ冷たい肌は腎水となる。
もちろん年齢によって肌の状態は変化していくので、年齢に則した中での五行分類となる。
年齢が若ければ多くの人がハリのある滑らかな肌をしていることが多いし、高齢になればなるほどハリを失い、枯燥した状態の肌となりやすい。
そうした年齢に即した肌の状態の中に、上記のような五行に即した肌質を捉えて本来の体質などを診断していくのである。
そして肌はその人個人の体質だけでなく、その時々の体の状態をも表す。
例えば、普段はピーンと張り詰めたような膚の人が、その中でもどこかざらつくような枯燥した感じがあれば、もしかしたら呼吸器系統に何らかの問題があるのかもしれないといったようにである。
また、肌は質感だけではなく地色も診る。
青っぽさがあれば肝木。
赤みがかっていれば心火。
黄色が強ければ脾土。
白い膚は肺金。
地黒であれば腎水となる。
しかし臨床的に分類はそう単純ではなく、年齢による枯燥なのかどうか、体質の重層的現れ、現在の体の状態、ムダ毛処理、クリーム使用、日焼けサロン等々、判断がつきかねることも多い。
だからこそ色々な情報を集めながら、総合的に判断していくのである。
逆に、五行分類の典型的な状態に出会ったときは、五行分類を導き出した人に改めて敬意の念を覚えるのである。
あなたも普段から前腕部やお腹を触り比べて変化を感じ取れるようになると、客観的に自分の体の状態を把握することが出来るようになる。
トライしてみてはいかがか?

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